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海外ビギナーの方へ②


 ここは、どこでしょう?一発で当てられたら凄いと思います。大学院2年生の「海外特別研究」で、参加費25万円程の授業の目的地です。やはり1週間でしたが、時差を約8時間程遡ることになるため、飛行機内は、いきなりブラインドを閉じて、真っ昼間から夕食、就寝というモードに変わり、面食らいました。目的地が、正午の場合、日本標準時は午後8時になります。


 答えは、イギリスです。ロンドンにも1泊して、ピカデリー・サーカスなど行ってみましたが、「エバー・グリーン」と呼ばれる年中美しい芝生の公園が、印象に残った程度です。主たる目的地は、スコットランドで、上の写真は、エジンバラ城から見た街並みだそうです。


 その他、グラスゴーにも行きました。スコットランドの市街地だけに行きましたが、一言で表現すると「綺麗」という言葉がピッタリ。失礼ながら、ロンドンに行ったら、雑多で空気が良くないような雰囲気を感じたぐらいです。


 何が綺麗かというと、街そのものとしか答えられません。また、心が浄化される場所と表現しても大げさだとは思いません。大相撲の表彰式で、小泉元総理のストレートな発言「感動した!」が、最も適切な表現かもしれません。


 エジンバラの旧市街に入って、デコボコの石畳足を踏み入れた瞬間、そこは「ハリーポッター」の世界。一同、一時無言で歩きました。何か言うと、どこか陳腐な感じに響くからです。誰かが大きくため息をつきました。ここだけ時間が停止したような感覚は、エジンバラ旧市街が特別でした。長い歴史を有する街並みに、こんなに清潔感を感じるとは。絶賛するしかありませんでした。


 社交場のような所で、アフタヌーンティーをいただきました。お菓子は、どれも甘ったるくてダメでした。スコーンとの初対面でしたが、何も付けずにそのまま食べました。ボソボソした歯触りで、美味しいとは思いませんでした。紅茶も然り。日本茶を飲んでいる舌には、あまりにも雑な淹れ方で、美味しくなかったのです。


 リンボウ先生こと、書誌学者・国文学者の林望さんは、大のイギリス好きで有名です。『イギリスはおいしい』や『イギリスは愉快だ』など、イギリスに関するエッセイ集等の書籍は多く、この旅行後、片っ端から読み漁りました。そして、イギリス料理のマズさを楽しむという境地を知りました。マズさを楽しむなんて、おわかりでしょうか。


 旅行の楽しみ方のひとつが、本場の味覚を味わうことです。しかし、これは海外では通用しないことが多いのも現実です。日本で供される外国料理は、日本人に合わせた味付けをしていることを、旅先で思い知った経験があります。


 初めて行った韓国では、観光客向け以外の焼肉屋での「何だコリャ!?」経験をしました。そして、中国では、本場の中華料理のほぼ全てに入っていた八角の風味に負けて、結局お粥しか食べられなくなった経験など、現地人が日常食する味覚に耐えられなかったことがありました。まあ、日本で外国からの観光客が、納豆などの発酵食品を嫌がるのと、ほぼ同じと捉えていただきたいと思います。


 イギリス料理の評判は、前から知っていました。食材の栄養素をとことん奪い取る調理法など、失礼ながら、イギリス料理には、歴史と伝統あるマズくさせる調味料が使われているのかと思いました。ここで、印象に残ったエピソードを2つほど紹介します。


 まずは、朝食で食べるトーストが、極薄なことです。スーパー等で見る最も薄い食パンは、8枚切りでしょうか。それとは比較にならない程の、極薄状態で、ガチガチに硬い代物です。日本人の主食は米で、西欧諸国はパンというウソを信じている人はいないと思います。たとえ主食ではなくても、あんまりだと思いました。


 なぜこんなに薄いのかという疑問は、すぐに晴れました。トーストは、独立した食べ物にあらず。その上にいろいろな食材を乗せるという「台」と認識されている事実を知りました。それを知らずに、バターだのジャムだのを塗り付けて食べていた我々にとって、カルチャー・ショックそのものでした。しかし、食パンとして食べた極薄のトーストは、後に好物になりました。


 次は、イギリス名物料理である「フィッシュ&チップス」です。旅の最終夜、全員会食が設けられ、大挙して某イギリス料理レストランを訪れました。メニュー表はなく、事前に全員分がオーダーされていたようです。


 テーブルには、調味料入れが2つ。食塩と酢でした。飲み物は各自オーダーせよと言われていましたが、食事後にパブに行くつもりだったので、「ウォーター プリーズ」でした。


 出てきた料理は、魚の切り身の揚げ物と厚切りのフライドポテトの大盛り。ウエイターさんに何の魚かと尋ねたら「Cod」と返答。鱈のようでした。どうやって揚げたのか、油がよほど低温だったのか、油まみれの魚には塩コショウすらしていなくて、無味。滲み出た油は、ポテトまで及んで歯応えを失っていました。


 食べる気ゼロでも、少しはということで、置かれていた食塩と酢をかけたら、もうアウトでした。何かのソースでもあれば、何とかなったのにと、ただ解散の指示を待っていました。見渡すと、みんな同じような表情でした。このエピソードは、後々の話題になりました。


 そこは、日本で言われている「旨み」の感覚が、欠如した世界でした。先のリンボウ先生によると、これを口にした時、イギリスに来た実感をもつと言っていました。「そんな物の、どこがいいんだ」と言われた経験はあるでしょうか。他の人にとってはマズかろうが、思い出の味は、誰にでもあるでしょう。


 さて、この旅行の最後には、一大珍事が起こりました。帰路の英国航空のミスにより、ダブル・ブッキング(二重予約)が発生したのです。そのため、もう1機を出さないといけなくなりました。行きの飛行機は、全員がエコノミー・クラスでしたが、帰りの飛行機のスペシャル席が、ガラ空きだったのです。


 おそらく、アルファベット順にスペシャル席が割り当てられたようです。阿部さん、江藤さんは、何とファースト・クラス。私は、姓名ともにTで、ビジネス・クラス。同級生のYさんは、哀れエコノミー・クラスになりました。生まれて初めて、カースト制度を経験しました。


 座席は、寝椅子にまでリクライニング。肘掛けのスチュワーデスマークを押すと「髙橋様、御用を承ります」「ウイスキーをロックで!」「どちらの銘柄になさいますか」と、頼み放題でした。成田空港までの15時間など、あっという間に過ぎました。


 到着して降りる時も、クラス順でした。ファーストから降りてきた面々に声をかけても、半覚醒状態で無反応。夢のような思いをしたそうです。次が、私を含めたビジネス・クラス。後で調べたら、エコノミー30万ぐらいのツアーをビジネスに変えると、最低でも90万に跳ね上がると聞きました。超ラッキーだったと、言うだけですね。


 こうして、2回目の「海外特別研究」の授業は、つつがなく終わりました。最後に言い忘れていたエピソードを披露して終わります。


 成田空港から15時間をかけて延々と飛行して、まもなくヒースロー空港に着陸しようとした英国航空機。富士急ハイランドのジェットコースター並みの急角度で突入!かなりビビりました。降り口から一番近いトイレに直行。そこは、まるでガリバーのトイレでした。身長が179cmの私が辛うじて届く小便器の高さ。何とか放物線を描いて無事終了。お子様用小便器には、結構長い行列ができました。これが、イギリスで最初に味わった屈辱。いや、カルチャー・ショックでした。The end.



 


 

 

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学校心理士

​健康経営アドバイザー

髙  橋     

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