メリットある福利厚生事業
- Toru Takahashi
- 2023年7月12日
- 読了時間: 6分
更新日:2023年10月5日

企業における福利厚生事業を、サブ事業とされている「法定外」の方が目立つ図を、わざと挙げています。いきなり論じる前に、私の狭い経験からですが、福利厚生について述べさせていただきます。
私は、新潟県公立中学校教員として、社会人のスタートを切りました。1985年(昭和60年)の4月1日、身長179.9cm、体重63kgの私は、長岡市立西中学校(1500名!)に赴任しました。大学で教職科目の単位を取り、2週間の教育実習だけの何もわからぬ新採用教諭でした。当時の福利厚生については、健康保険証と、アパート代補助ぐらいしか、記憶に残ってはいません。
冬のある日、職員室(新潟では教務室)の机上全てに、コタツ布団が乗せられていました。主任に尋ねると「寒冷地手当の物」だそうです。これが、法定外の福利厚生事業だったと思います。石油ストーブ禁止の東京で、冬はコタツだけの防寒対策をしていた私には、新しいのを買おうと思っていたので、プレゼントに見えました。
そこで一番困ったのは、昼食でした。給食は牛乳だけで、生徒も教師も自前の弁当で済ませる必要がありました。毎朝、仕出し屋の弁当の注文ができました。しかし、大学の学食で日替わりの「スペシャル・ランチ」でも300円だったのが、仕出し屋の弁当は500円。当時は、中華そばが、250円程度でしたので、月給手取り9万円の私には、手が届きませんでした。当然ですが、食事補助などは、ありませんでした。
当時、63kgだった私の標準体重は、72kgと大きな格差がありました。痩せているのは栄養失調に違いなく、それでも23歳は、元気そのものでした。
2校目からは、一応給食がありましたが、白飯持参。給食時間まで「暖飯機」で温めていたものです。この後、秋田県に戻って来た平成2年からは、大規模校の自校式完全給食で、1食300円程度でした。給食生活37年。これも、福利厚生の恩恵を得てきたと言うことができるかもしれません。
振り返ってみると、教員の給与は低いままではありましたが、福利厚生面は結構良かったと思います。覚えているだけでも、扶養手当、育児休業2年まで、人間ドック補助金、リフレッシュ休暇など当たり前のようにありました。もちろん、寒冷地手当などは、冬の給与に加算されます。僻地手当もいただきました。
中途退職して、某学校法人に勤めた時、大きなギャップにビックリしました。扶養は健康保険のみで手当はなし。育児休業は取得せず、産後8週間経過で職場復帰する保育教諭が多数。慶弔金の決まり事さえなし。そして、毎年のベースアップなし!あまりにも待遇面で人間扱いしていないと腹が立ち、無理やりでしたが、昇給を実現しました。それでも、人間関係から離職者が相次ぐ状態でした。そうしたメンタルヘルスケアの体制とも、無縁な職場でした。
こうした施設は、お上からの補助金で運営されているので、公務員と同様に限界があるのは仕方がないことです。しかし、これを営利企業に当てはめたら、どうなるでしょうか。従業員からは、不満ばかり。そして、上司と部下の関係悪化により、両者のメンタルヘルス面の悪化に伴い、職場の満足度も生産性も急降下。人手不足は自分には関係ない、会社の勝手な都合だと、特に若い人たちのモチベーションはゼロになります。そして、手軽に離職という結果に陥ります。悪循環が発生します。
昔は、上意下達が罷り通る古き佳き時代でした。部下とインフォーマルな人間関係をもつのに、何の工夫も要りませんでした。何をするにせよ、飲み会は不可欠でした。今まで、後輩を飲みに連れて行って話を聞いてやれば、後はさっぱりというケースなどは、数え切れません。あいつ何か変だなと感じると「ちょっと飲みに行くか?」と声をかけます。相手話す場を設けてあげるだけで済みました。そこに、先輩のカウンセラー的態度など、不必要でした。
新潟県から秋田県に戻って来た時、歓迎会や送別会など以外に、不思議な名前の宴会があり「これだ!」と感服した記憶があります。それは「あご固め」「あご別れ」と呼ばれていました。堅苦しい言い方をすれば、決断式、解団式とでも言えばいいかと思います。
1学期が終わると「あご別れ」、2学期開始直前に「あご固め」をするのです。また、修学旅行の前に旅行社主催の「あご固め」、無事帰着した後「あご別れ」をしました。今の社会に必要なマインドだと、つくづく思わされます。しかし、これをそのまま、お茶とお菓子の茶話会にするなら、この趣旨を実現するのは、無理でしょうね。宴会しかないと思います。
そのため、事業所としては、法定外福利厚生事業を充実させるしかないのです。もちろん、大幅ベースアップが一番でしょうが、従業員を満足させるだけ支出できるのかは、この秋田県の経済状況では無理というものでしょう。
私は、秋田県に戻って来てから「教員一人に1億円」と聞かされました。一応、終身雇用制を選んだ場合、給与+法定福利厚生費から見れば、法定外福利厚生は、少額と言えます。
私は、企業城下町の仁賀保町で生まれ育ちました。TDKという大企業に勤める人たちは、本当の意味で終身に渡り、会社が面倒を見てくれるそうです。つまり、定年退職後もリッチな生活ができるという、さすがと言わざるを得ない一般との「格差」が、厳に存在しました。
大企業ともなると、産業医を配置するなど、従業員の待遇は、ばっちりです。しかし、組織が巨大化すると、配慮が行き届かないこともあるでしょう。特に、従業員の心の問題については、それぞれの規模に合った施策が必要だと思います。しかし、これが「予算化」されているか否かが、大きな問題となるでしょう。
物価高騰の折、社員全員に均等額のバラマキ予算は、損だと思います。とりあえずは、希望者に応えるという形がベターでしょう。実施して、最終的には会社へに好感度アップにつながるのは、個人的な悩みや、職場の人間関係を良好にしていくことだと思います。
具体的には、勤務地外で心をリフレッシュすることや、それぞれの部署で小集団を取り仕切る人を対象にした、おもしろくてタメになる研修でしょう。目標は、職場の活性化です。そして、生産性の向上にさえつながります。
従業員の皆さん。モヤモヤした気分のまま仕事をしていませんか?リーダーの皆さん。扱いに辟易している部下は、いませんか?業種は全く違うにしても、私は「現場」を知っているカウンセラーです。「臭い物には蓋」が、本荘由利の地域性ですが、それが最もダメなところなのです。このタブーというべき気質に風穴を開けない限り、何も始まりません。
お偉い方は、対象外です。とにかく、現場で汗かく人たちの、お役に立ちたいのです。さてさて、材料は揃っています。100人以上程度の企業に、PRを始めようと思います。飲み会なしでも、何とかなりますよ。
今後は、資格取得講座のいいとこ取りをして資格取得講座を途中で辞めた、産業カウンセラー的な取組をスタートするつもりです。お役に立てれば、幸いです。福利厚生事業を工夫することにより、経営側と従業員がWin-Winの関係になれたら、Happy &Heartfull Companyになれるでしょう。
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