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内観療法の勧め

更新日:2024年12月30日


 1993年の夏休み。教職大学院1年生の私は、研究目的を認められて、実際に「集中内観」を体験させていただきました。どんな施設だったかなど詳しくは、お世話になった研修所の下記サイトを、ご覧いただきたいと思います。


 6泊7日で、料金も高額でしたが、かけがえのない経験を得た記憶は、今も私の内面に入り込んだまま、宝物となっています。大げさではなく、真に人生観までを転換する経験をさせていただきました。


〒930-1325 富山県富山市文珠寺235 

北陸内観研修所 (HP参照) ←crick it !




 内観療法は、森田療法と並ぶ、純国産の心理療法です。創始者は、吉本伊信というコテコテの関西人のお坊さん。仏教の精神修養から宗教色を抜いて、この療法を世に広めたそうな。

 

 当時、私は独身で、本当の夏休みをどう過ごそうか、悩んでいました。実家に戻れば、同僚たちは、部活だ研修だと、勤務状態なので、外出禁止でしょう。富山、長野、埼玉から来たゼミの仲間たちは、全員が妻子持ち。自由と言えば自由ですが、一応現職教員の身分のままなので、信用失墜行為にならないようにと、言い渡されていた存在でした。


 また、2年間全て出張扱いなので、手当も出ていて、お金の余裕もあり。これは、机上の勉強以外にチャレンジしようと、欲張って集中内観療法と伊東博先生主催の「ニュー・カウンセリング」ワークショップにも参加しました。ここでも、本物のエンカウンター・グループを経験しました。これもまた、貴重な経験でした。


 どちらも、大学院のゼミの先生から教えていただきました。「内観はキツいですよ」と、おまけ付きのアドバイスもいただきました。そのアドバイスは現実のものになりました。1日の半分以上の15時間、期間は約1週間、入浴やトイレ、そして睡眠時間以外は、座敷の隅で屏風に仕切られて、ずっと座っているからです。


 内観では、まず身近な対象者を決めて、時期に分けて過去の記憶を探ります。例えば、母を対象として、小学校入学から3年生ぐらいまでという感じです。思い出すことは、次の3つのことだけです。デタラメの私訳付きで失礼。


してもらったこと…gifted minds and loved


してあげたこと…thanks presents


迷惑をかけたこと…disturbed. very sorry


 人によって表現は違いますが、意味合いは同じと考えてください。坐禅を組むわけでも、目を閉じるでもなく、指導者が巡回してくる約2時間おきに、思い出したことを順番に話すのですが、うなづくだけで「次はいつ頃を調べますか」と質問して去っていかれます。


 1部屋4隅あるので、4人部屋です。会話厳禁。私以外の3人は皆若くて、1人はツッパリ系のヤンキー君でした。どうしても伝えたいことは、ジェスチャーになりました。午後10時には消灯。午前6時起床で、内観スタート。朝食は、麦飯メインのヘルシーメニュー。動かない生活には、マッチしていました。


 遠い過去のエピソードなど、思い出そうとしても、なかなか頭に浮かんで来なくて、最初の2日間程は苦難の時間でした。そういったモードになるのには時間がかかるんだと、勝手に解釈するしかありませんでした。それでも順番が来ると何かを話さなければなりません。8割方はウソを交えて、誤魔化しました。


 確か3日目の夕方になる時間帯に、不思議な現象が始まりました。自分のオデコがスクリーンになって、8ミリ映像が映し出されてきたのです。コマ数の少ない動画のために、ぎごちなく、白黒ながら結構鮮明な映像でした。


 小学校の入学式の後、外で記念写真を撮る場面でした。銅像の台の横に私が立ち、母は、ずっと上の方にいて着物姿で微笑んでいました。自分の学級の撮影が終わり、母の元に行こうとすると、他の保護者たちで見えなくなり、「母さーん!」と叫ぶ私の姿。母も私を見失ったようで、盛んに私を呼んでいます。そして.....。


 単なる想像でありながら、映画の一場面にいる感じがして、なかなかリアルな映像でした。これを契機にして、それぞれの年代のハイライト映像が流れ始めました。更には、思い出すべき3つのことが、映像に盛り込まれていくようになり、そのままを話せば良くなりました。


 顔が、とにかくリアルでした。表情の変化もリアルでした。想像から出てきたとは、考えづらいぐらいでしたが、無声映像でした。研究目的ということが、頭の隅にあったので、起きていることを客観視しようとする私もいました。


 3つのシンプルな問いについて思い出しては話すという営みは、ねじ曲がった自分の心と相対する場面になるようです。「わかっちゃいるけど、やめられない🎵」の逃げ場を無くして、直接対決の場に立つようでした。


 5日目のことでした。真向かいに居る。ヤンキー君の号泣が始まりました。そして、言い訳と察せられる言葉をボソリボソリと話し出しました。驚きながら、就寝時間前にチラリと表情を見てみると、少し笑みを浮かべつつサッパリした表情で布団を敷いている、彼の姿がありました。昨日までの彼とは、別人でした。


 1週間が過ぎて、退所の日になりました。自分は治療目的ではないという思いが、余計な障害となったようで、劇的な心情の変化はありませんでした。日常内観の話を聞き、お礼を言って外に出ました。


 車の横に小さな花を見かけました。なぜか、その美しさに感動して、涙が出ました。空は快晴で、また感動。更に、立山連峰の山々を眺めたまま、しばらく動けませんでした。内観が終わってから、効果が押し寄せてきたと感じました。上越までの帰路、いろいろな風景に感動しました。戻って来た上越市は、その日に、上越市は、全国最高気温39℃をマークしました。


 再び振り返ってみると、内観で問われる3つの質問は、最終的に真の感謝する心に到達するという考えに至りました。また、今になって思うことは、内観が日本版マインドフルネスに通じるのではないかと思うようになりました。まずは瞑想という共通点があることから、考えを進めていくつもりです。


 内観は、いろいろな心の不調に効きます。特に、学校に行けなくなったり、引きこもりになっているケースに効果があると思われます。ただし、費用面と狭い環境に耐えられたらの話です。なかなか敷居は高いのが、現実です。


 私自身のアイディアとして考えているのは、「内観交換ノート」やメールのやり取りによる「オンライン内観」など。効果は不明ですが、1日30分でも日常内観をして、その聞き役になれたらと思っています。悩みのない人はいません。内観がお勧めですよ。






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秋田県由利本荘市大鍬町 117-2

 

学校心理士

​健康経営アドバイザー

髙  橋     

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